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コンテンツの直接操作により編集・整理が行えるWikiシステム


著者

八木原 勇太

論文名

コンテンツの直接操作により編集・整理が行えるWikiシステム

発表年月

2008年2月

発表学会等

電気通信大学平成19年度修士論文

概要

Web ページの作成は、一般的に初心者には難しいとされている。その理由は人によって様々であるが、Web ページを作成する上でつまづきやすい点は、以下のようなものが考えられる。

  • HTML文法を覚える必要がある
  • コンテンツの配置の管理
  • データの整合性の管理

  • まず、HTML 文法は初心者にとって一番の壁となる。Web ページに記載するテキストに加え、体裁を整えるためにHTML のタグを書き込まなければならないため、文書が複雑になり、コンテンツ作成の妨げとなる。
    また、どのコンテンツをどのページに配置するか、配置場所の管理も難しい問題である。特にコンテンツの量が多いときは、一度作成したWeb ページの内容を再構成しなければならないこともあり、非常に面倒である。
    データの整合性の管理については、同じ内容のコンテンツを複数のページに配置したときに問題となる。これは、例えばあるシステムやソフトウェアの使用法をまとめるときによく発生する問題だが、複数の箇所で内容が食い違っていないか確認したり、また何か更新があったときに全てのページを更新するなど、手間のかかる作業である。

    そこで、それらの手間を軽減するため、Wiki[5][6][7][8] やBlog[15] というWeb アプリケーションが近年急速に普及してきた。これらはCMS (Content Management System)[4] と呼ばれ、ブラウザ上でWeb ページを作成するもので、HTML 文法を知らないユーザでも簡単に使用することができる。
    これらのシステムの利点として、次のようなものが挙げられる。

  • 多くのCMSシステムが無料で利用できる
  • 書き込み内容を変更したものが即座にHTMLとして反映される
  • 専門的な知識を必要とせずに簡単に利用できる

  • これらのCMS システムのうち、本研究ではWeb ページを自由に作成できるWiki というツールに注目した。Wiki は、個人的なメモや複数人で共有する情報などを掲載したWeb サイトの作成などに利用されている。

    本研究では、ブラウザのみで操作できる等の既存のWiki の利便性を活かしつつ、先に述べた新規書き込みやページの分割・統合などの問題点を改善し、コンテンツをより柔軟に扱えるシステムの構築を考える。これまでWiki では扱いづらいとされてきたフロー型の情報(後述) を適切に処理でき、また作成したページの再構成によって情報の整理整頓も効率的に行えるようなシステムの構築を目標とする。
    具体的には、個人的なメモなどの不特定の情報を書き込み、そこから情報を整理してまとめた所謂「まとめサイト」が作成できるようなシステムを目指す。

    本研究では、既存のWiki の新規書き込みの問題やページの再構成の問題を改善するために、ページよりも小さい「断片」という単位でコンテンツを扱うようにした。書き込んだ断片をページに配置することで、フロー型の情報の情報にも対応できるようなモデルを考案した。また、ドラッグ& ドロップによるコンテンツの移動を実現し、コンテンツの整理整頓がマウスのみで簡単に行えるようになった。
    今回の試験運用で、従来通りページにテキストを追記する使い方と、「とりあえずメモ、後で整理整頓」という両方の使い方が可能だということがわかった。これによって、情報をストックとして保持するWiki の利便性を活かしつつ、本来Wiki では扱いにくいとされてきたフロー型の情報にも十分対応できると言えるだろう。

    断片の分割・統合
    現段階では、長い断片を複数の断片に分割したり、短い断片をひとつの断片に統合したりする処理は、全て手作業で行わなければならない。「とりあえずメモ、後で整理整頓」という使い方をより簡単に行えるようにするため、断片の大きさなど余計なことを機にせず書き込みが行えるように、編集時に簡単に断片の分割・統合が行えるようにするのが望ましい。これを初心者にもわかりやすく簡単に行えるようなインターフェースを考え、実装したい。

    ローカルファイルから断片の作成
    移動中などでネットワークが利用できない場合等、一時的なメモをテキストファイルとしてローカルに保存しておくことがある。このようなファイルをまとめてアップロードし、断片を一括して作成する機能を実装したい。
    このとき、長いテキストを編集しやすいよう短い単位で区切り、自動的に複数の断片に分ける処理が必要となる。テキストを区切る基準や、ユーザにとってわかりやすい分割の指定方法を考えなければならない。

    大規模なページの運用
    今回は10 人程度の小規模な運用だけにとどまったが、これを大きな規模のページで行い、システムが十分に活用できるか検討したい。具体的には、ページや断片の数が多くなったときでもコンテンツを問題なく扱えているか、検索機能は機能しているかどうか、などである。
    また試験運用では、断片の共有についてはURL の共有という良い利用例が見つかったが、ページの規模が大きくなったときに、逆に共有することで混乱を招いてしまうことも考えられる。大規模なコンテンツの中でどのくらい断片の共有が起こるり、どのような使われ方をするのかを調査したい。

    ファイル

    http://sp.ice.uec.ac.jp/thesis/yagihara_master.pdf